大愛はアガリクスについて研究しています  
  大愛では、事業活動の1つとして、アガリクスがヒトの健康に及ぼす効果について研究を進めています。アガリクスの抗がん作用及び抗酸化活性に関する細胞レベルでの研究成果について下記のとおり報告いたします。  

 
「アガリクスのガン抑制遺伝子発現不全繊維芽細胞の選択的致死因子」について
〜日本農芸化学会2006年度大会にて学会発表〜

椛蛻、は、近畿大学大学院農学研究科 河村幸雄教授との共同研究により、アガリクスがガン細胞を選択的に死滅させることを見出し、日本農芸化学会2006年度大会で発表しました。
今回の発表内容は以下のとおりです(一部抜粋)。

■演 題 「アガリクスのガン抑制遺伝子発現不全繊維芽細胞の選択的致死因子」
■発表者 近畿大学大学院農学研究科応用生命化学科 銭谷 若菜 ほか
■学会名 日本農芸化学会 2006年度大会
●期間---2006年3月25日(土)〜28日(火)、●場所---京都女子大学
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研究の目的
アガリクスは、ブラジルを原産とする食用きのこであり、抗ガン作用を示すことで注目を集めてきました。しかしながら、細胞生物学的な観点からの研究は少ないことから、今回、アガリクス抽出エキスのガン抑制遺伝子発現不全繊維亜芽細胞に対する選択的致死因子とその作用機構の解明を目的として研究を行いました。

研究結果
各種溶媒で抽出した乾燥アガリクス子実体抽出物をSV-T2細胞に添加し、その生存率を測定しました。その結果、下図左に示すように、アガリクスの熱水抽出物がガン細胞に対して選択的に細胞毒性を示すことが明らかになりました。

 
 
 
 

この作用機構を解明するために、アガリクス熱水抽出物をエタノール及びエーテルを用いて粗精製し、ガン細胞に加えてカスパーゼ活性を測定しました(上図右)。アガリクス粗精製物の添加により、ガン細胞のカスパーゼ活性は通常細胞の約4倍に増加していることが明らかになりました。カスパーゼは細胞のアポトーシスを誘導する酵素として知られています。

また、図には示しませんが、アガリクス粗精製物の添加により、ガン細胞DNAのフラグメンテーションが増加していることも確認しています。さらに、顕微鏡を用いたガン細胞の形態観察などの結果と考え合わせると、アガリクスによるガン細胞の選択的な致死効果はアポトーシスによるものと示唆されました。

アポトーシス---さまざまなストレスに対して損傷を受けた細胞が自ら引き起こす死のこと。生体防御機構の1つとされる。

まとめ
乾燥アガリクス子実体の熱水抽出物中には、ガン細胞に対して選択的に毒性を発現する因子が含まれていることを見出しました。

この作用機構として、アガリクス熱水抽出物は、ガン細胞を自ら死滅させるアポトーシスを惹起していることが示唆されました。

 

  〜日本農芸化学会について〜
日本農芸化学会は農芸化学の進歩を図り、それを通じて科学、技術、文化の発展に寄与することを目的として、1924年に設立された学術団体です。以来、組織の面でも着実に発展し、1957年には文部省の認可によって社団法人となりました。
バイオサイエンス・バイオテクノロジーを中心とする多彩な領域の研究者、技術者、学生、団体等によって構成される本学会は、創立70周年を迎えた1994年を契機に、さらに一層の展開を図るべく、国際活動の推進、国際学術集会開催の積極的支援を実現し、実用性と応用性を基盤とする農芸化学の重要性を広く紹介しています。    日本農芸化学会ウェブサイト(http://www.jsbba.or.jp/)より
 

 
「アガリクス抽出液抗酸化活性およびその賦活作用」について
〜日本農芸化学会2005年度大会にて学会発表〜

椛蛻、は、アガリクス抽出液の抗酸化活性に関して新居浜高専 中川克彦教授との共同研究を行い、日本農芸化学会2005年度大会で発表しました。
今回の発表内容は以下のとおりです。

■演 題 「アガリクス抽出液抗酸化活性およびその賦活作用」
■発表者 新居浜高専生物応用化学科 中川 克彦 教授 ほか
■学会名 日本農芸化学会 2005年度大会
●期間---2005年3月28日(月)〜30日(水)、●場所---札幌コンベンションセンター
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講演要旨
【目的】本研究では、機能性キノコであるアガリクス抽出液の抗酸化活性およびその賦活作用に着目し、抽出方法による活性度の変化について検討した。
【方法・結果】アガリクス抽出液は、Agaricus blazei Mutillの子実体を熱水抽出或いは冷水抽出後、滅菌処理し、0.2μmミクロポア・フィルターにより濾別したものを用いた。抗酸化活性の指標として、SOD活性度とチオレドキシン遺伝子が破壊され、酸化的なストレスを受けやすい酵母菌の増殖速度を測定した。乾燥した子実体より生の子実体を用いた熱水抽出液の方が、最もSOD活性度および酵母菌の増殖速度が大きくなった。そこで、抽出液の全糖量と全タンパク量を求めると、SOD活性と酵母菌の増殖速度は、全糖量または全タンパク量と無関係であった。一方、抗酸化力が高い緑茶を用いると、SOD活性値はアガリクス抽出液より緑茶の方が高くなったが、緑茶では酵母菌の増殖速度がブランクと同じであった。以上の結果より、アガリクス抽出液には未知の抗酸化賦活物質が存在することが示唆された。

 

 
酵母のチオレドキシン遺伝子破壊株を用いた抗酸化活性の評価系について

Yap1pの活性と局在性
出芽酵母のYap1pは、酸化的ストレスに応答して下流標的遺伝子の発現を誘導する転写因子です。Yap1pの活性は、それ自身が有するシステイン残基の酸化還元状態に依存して細胞内の局在性を変化させることにより制御されています。Yap1pのC末側には、NES(=nuclear export sequence)と呼ばれる領域があり、酸化的ストレス条件下ではこの領域のシステイン残基が分子内ジスルフィド結合することにより、Yap1pの核外への輸送が阻害され、結果的に核内に局在するようになります。そして、チオレドキシン遺伝子(TRX2)やグルタチオンペルオキシダーゼ(GPX2)などの下流標的遺伝子の発現を誘導します。なお、通常状態では、Yap1pは不活性な還元型で存在し、核外へと輸送されます。したがって、Yap1pの活性は、蛍光タンパク質を連結したGFP-Yap1pの細胞内局在を蛍光顕微鏡下でモニターすることで評価することができます。

チオレドキシンとYap1pの関係について
チオレドキシンは細胞内の酸化還元状態を適切に維持するのに重要な抗酸化物質です。出芽酵母では、TRX1とTRX2にコードされています。これらの遺伝子を破壊した株では、細胞内酸化度が野生株の約2倍に増加し、Yap1pは酸化型(活性型)の状態で常に核に局在します。

新規な抗酸化活性評価法
Yap1pの局在性は、細胞内の酸化度の指標と考えることができます。チオレドキシン遺伝子破壊株では、細胞内酸化度の上昇に伴い、Yap1pは酸化されて常に核に局在します。したがって、この表現型を抑圧する因子は高い抗酸化活性を持つと考えられます。
そこで、チオレドキシン遺伝子破壊株の培養液に食品成分を添加し、GFP-Yap1pの局在性を蛍光顕微鏡で観察します。もしも核内に局在しているGFP-Yap1pが核から細胞質側へ輸送されれば、その食品成分が細胞内酸化度を減少させるという抗酸化活性を発現したことになります。

乾燥アガリクス子実体熱水抽出エキスの抗酸化活性について
●乾燥アガリクス子実体熱水抽出エキス(以下ABMExと略記)の抗酸化活性について知見を得るため、GFP‐Yap1pを発現するチオレドキシン遺伝子破壊株の培養液にABMExを添加し、対数増殖期中期まで培養したのち蛍光顕微鏡観察しました(右写真上)。左側の写真はABMExを添加していない場合です。チオレドキシンが欠損しているため、細胞内酸化度の上昇に起因してGFP-Yap1pは細胞の核に局在していることがわかります。一方、ABMExを添加した場合、GFP-Yap1pは核外へと輸送され、細胞質全体に拡散していることがわかります。これらの結果は、ABMExにより、チオレドキシン遺伝子破壊株の細胞内酸化度が緩和されたことを示しており、ABMEx中には抗酸化活性を発現する因子が含まれていることが示唆されました。

●ABMExのYap1p局在性変化を指標とした抗酸化活性をより定量的に検討するため、右に示すようなレポーター遺伝子を用いました。YREはYap1p応答配列(yap1-responsive element)と呼ばれ、Yap1pの下流標的遺伝子のプロモーターに共通して存在する配列として見出されました。その後の研究で、Yap1pがこのYREに結合して下流遺伝子の発現を誘導することが明らかにされています。今回の研究では、このYREを3個タンデムに連結したプロモーターとβ‐ガラクトシダーゼをコードするlacZ遺伝子を連結したレポーター遺伝子をチオレドキシン遺伝子破壊株に導入し、ABMExがYap1p活性に及ぼす影響をβ‐ガラクトシダーゼ活性を測定することで定量的に評価しました。
 右のグラフはその結果です。チオレドキシン遺伝子破壊株におけるβ-ガラクトシダーゼ活性は、Yap1pの活性化により野生株の約2倍にまで増加していますが、ABMExを5%(v/v)添加することにより有意に減少しています。また、ここではデータは省略しますが、Yap1pの下流標的遺伝子の1つであるGPX2遺伝子の発現に及ぼすABMExの影響を転写レベルで調べた結果、チオレドキシン遺伝子破壊株で恒常的に高発現しているGPX2遺伝子が、ABMExの添加により野生株レベルにまで抑圧されていることも確認しています。これらの結果は、ABMExがYap1pを不活性化していることを示しています。(つづく)